ご存知の方は多いと思いますが、つい先日
お笑い芸人、とにかく明るい安村が英TV番組・プリテンズゴッドタレントで大ウケしました。
その時のネタがこれ。
アイアム ウェアリング・・・・「パンツ!!」
ネットで知った私。決して上品とは言い難いですが何度も動画で爆笑しました。
さて、この流れでこの写真を見てください。
歯内療法(根の治療)中のレントゲン写真です。
「ラバーダムしてない!!」
って思ったあなた、相当歯科通ですね。
っていうか、歯科医レベルです。
ちなみに歯内療法ではラバーダムはパンツと同じくらい大切なのです。
通常歯にクランプという器具を装着し、ラバーダム(ゴム製のマスク)をかけます。
クランプがラバーを押さえているので引っ張ってもすっぽ抜けずに治療ができるのです。
そのクランプが通常ではレントゲン写真に写ってくるのです。例えば、
こんな感じ。歯に何やら器具が付いていますね(赤い矢印)。
ちなみにクランプというのはこんな器具です。
ご覧の通り、歯の形に合わせていろいろな種類があります。
金属でできているのでレントゲンに写るわけです。
今回、画像の症例の主訴は自発痛(何をしていなくても痛む)でした。
神経がとってありセラミックの冠が入っていましたが、その下から虫歯になり歯を支える骨に感染が起こっていました。
「神経がないから痛みはないはず」
とよく患者さんから聞きますが、感染が歯を通り越して骨まで進むと痛みが発生します。
これを根尖性歯周炎と呼びます。
抜歯か歯内療法との選択で患者さんのご希望により歯内療法による保存処置を行いました。
今回の治療のポイントは「防湿」です。
いかに唾液を排除し、虫歯を完全に除去して根管内の雑菌を取り除くかです。
たまたま今回はクランプがちょうどムシ歯の部分を隠してしまい、レントゲン写真では確認できません。
そこで事前に3Dプリンターでレントゲンに写らないクランプを作っておく計画を立てました。
次の画像はパソコン上で設計している画面です。使っているソフトは歯科用ではなく一般のものを使いました。
実はこれが結構大変で出来上がるまでに2週間を要しました。
まず滅菌ができて、適度な弾力があり割れたりしない生体適合性の3Dプリンタ用レジンを見つけることから始まって、CADソフトで 設計→プリント→耐久試験 を繰り返しようやく完成!!
下の写真が実際に装着して治療中のものです。
ドント ウォーリー。アイアム ウェアリング・・・・「クランプ!!」
レントゲンでは見えてないけど着いています!!クランプ。
全然笑えないですね。。。💦
ちなみに強度的な問題で使い捨てです。外す時はぎゅっと大きく広げて割ります。
このクランプ、元々光重合のレジンでできているので日常の臨床で使っているレジンと接着します。
より一層緊密に防湿する時やクランプが動く時にはフロアブルレジン等で固定すれば安全で確実な治療ができると思います。
この症例ですが、術前から根充後までのレントゲン写真を載せておきます。
【術前】
【術中】
ここで透明なクランプとラバーを使用しました。赤いラインが根尖病巣です。
【術中2】
遠心(奥の方)の虫歯を取り除き、隔壁(唾液が入りにくく、さらに歯の補強のため)をしました。
ここまで来れば通常の歯内療法と同じです。透明なクランプとラバーはここでも使用しています。
痛みはすでに止まっています。
【根管充填】
通常通り根管充填。金属製のクランプを使用しました。
【経過観察】
6ヶ月後、根尖病巣は消失傾向にあります。これから冠を入れます。
注意事項ですが、今回製作したクランプは医療器具として認可されたものではありません。
(3Dプリンタ用のレジンは認可を受けています。サージカルガイド用のものを使用しました)
保険治療では使用することはできませんが、患者さんの同意が得られているならば自由診療では可能だと思います。
将来的にはCTとのデータと重ね合わせて歯内療法用のガイドができそうな予感がします。
以上、少々マニアックな内容でしたが、読んでいただきありがとうございます。
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