ちなみにマイクロスコープがあれば誰でもこの鶴が折れるわけではありません。毎日診療後に練習を重ねてできるものです。
(院長 田中)
この写真には10円玉の上に2つの器具がのっています。
実は共に虫歯を取り除く目的で使用する「エキスカベータ」という器具ですが、上は肉眼用、下はマイクロスコープ用で先はナイフのように尖っています。
肉眼サイズでもこの器具を使う歯科医はかなり丁寧な治療をしているのですが、マイクロスコープを使用しての虫歯治療はさらに細やかな仕事をしていることがお分かりでしょうか。
しかし精密治療はただ単に小さな器具を使うことだけではありません。
正確でなければ良い結果は得られません。
また、マイクロスコープがあれば良い治療が受けられる訳でもありません。
RUBBERDAM
「ラバーダム」とは歯にリングをかけてラバーのシートをかけること。治療している歯だけを露出させを唾液から隔離し感染を防ぐために行います。同時に周囲の組織を傷付けることも防ぎます。名古屋市千種区の歯医者 覚王山プライベートデンタルではすべての歯内療法において必ずラバーダム防湿を行います。
私は現在トロント大学歯内療法の専門医コースを受講しています。鬼軍曹と言われ、師であるフリードマン教授は「ラバーダムをしないで治療したら警察に通報する!!」と言うほど(冗談でしょうが)ラバーダムの徹底をたたき込まれました。
日本の歯内療法の成功率の低さも、もしかしたらラバーダムの普及率の低さが原因かもしれません。
MICROSCOPE
北米ではマイクロスコープを使用できなければ歯内療法専門医になれません。それは目で見て確認することが治療の成功率を飛躍的に高めるからです。
写真は神経に達するほどの大きな虫歯でしたが、神経を温存 (Vital Pulp Therapy) しコンポジットレジンで元の歯の形態に回復(Direct CR)させました。治療は1回で完了(90分)です。
通常は神経を取り、数回の通院が必要です。
ラバーダムとマイクロスコープがなければここまでできなかったでしょう。
ただ患者さまの中にはマイクロスコープがあれば良い治療が受けられると誤解されている方が多いようです。
これは高性能なメガネでしかありません。私自身マイクロスコープを使いこなせるようになるまで3年かかりました。
マイクロスコープがオブジェになっている医院も珍しくありません。
長期安定には
「感染のコントロール」と
「力のコントロール」が必要
一本の歯を残しても調和したかみ合わせが達成できなければ歯は割れてしまいます。まさに「木を見て森を見ず」です。
今まで歯科ドックで多くの方のかみ合わせを診ていますが、パッチワークのようにバラバラな治療で咬合理論的に問題を抱えている方が多いと感じています。
歯科において一番難しい治療は「咬合の再構成」。
それは全ての歯にアプローチしてかみ合わせを変えること。
身体に調和するまでプロビジョナル(仮歯)で長期に渡り調整していくことがあります。これは根気のいる宮大工のような仕事です。これも精密歯科治療と言っても良いでしょう。